七つの海のときどき航海日誌
七海生産者商会の会長が徒然と書き留めてみた大航海時代の由無しごと。
ももの裏稼業繁盛記

まいどこにちわももいのです。
今日は、以前も記事にした、フェルメール展のご紹介。

明日12/23から、東京渋谷の Bunkamura ザ・ミュージアムで、
「フェルメールからのラブレター展」が開催されます。
副題はCommunication: Visualizing the Human Connection in the Age of Vermeer
コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ。

夏に京都で、秋に仙台で開催された展覧会の巡回展です。
全世界にわずか30数枚しか残されていないフェルメールの絵画、
そのうちの3枚を同時に見ることのできる、とっても貴重な展覧会です。

手紙を読む青衣の女
© Rijksmuseum, Amsterdam. On loan from the City of Amsterdam (A. van der Hoop Bequest)

こちらは今回の展覧会一番の目玉、「手紙を読む青衣の女」。
アムステルダム国立美術館により修復されて以来、初めての公開が今回の巡回展です。

フェルメールといえば日本で有名なのが「真珠の耳飾りの少女」。
青いターバンの少女といえば思い出す方もいらっしゃるかも。
そのほかにもルーブル美術館蔵の「レースを編む女」なども、
最近ルーブル展とともに来日してましたから、目にした方もいらっしゃるんじゃないかしや?

フェルメールの絵画に多く共通するのは、
鑑賞者の注目を集めるために非常に精密に描きこまれた部分と、
その周囲のぼけたような筆遣いの差があること。
とっても効果的で、絵画に描きこまれた物語に、ものすごく感情移入してしまいます。
DOLでフェルメールの生きた時代に慣れ親しんでる私たちだから、
ますます気持ちが入りやすいのかも知れません。

「絵画はちょっとわからないからなあ‥‥行ってもしょうがない」
なんていう方も、ぜひこの機会に訪れてみてください。
表情、構図、強弱のアクセント、そんなほんの少しの情報から、
そこに描かれた人物の激しい感情が、きっとあなたにも伝わってくるはずです。
感情を感じることが、絵画鑑賞をより興味深いものにしてくれるハズ。
絶対絶対オススメです。


それでもどうしても見に行けない!遠くて無理だよ!という方には、こちらをオススメ。
関東で12/24(土)朝9:55~10:50、テレビ朝日で放映の特別番組と、
手のひらでじっくりとフェルメールの作品を鑑賞できるAndroidアプリです。

手のひらで思う存分絵画鑑賞‥‥なんとも贅沢です。


また、フェルメール以外の作品も、
絵画の中から何か語りかけてくる作品が多くあるのもこの展覧会の特徴。
フェルメールという目玉あり、脇を固めるのも粒ぞろい、
また全体のボリュームもそれほど多くなく、飽きずに気持ちよく鑑賞できます。
遊園地のアトラクションのように、絵画鑑賞の入門に、
是非とも足を運んでいただきたい展覧会です。


フェルメールからのラブレター展、公式HPはこちら


うちも絶対もっかい見に行くぞー!

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ももの裏稼業繁盛記

ときの居ぬ間にごにょごにょ‥‥まいどこにちはももいのです。

めずらしく続いちゃってる美術展巡り。
レンブラントを見てきたというふぃーさんのリクエストにお応え(?)して、
今回は愛知で開催中のふたつの美術展をまとめてご紹介。

まずはふぃーさんも見たという、名古屋は白川公園にある名古屋市美術館で開催中の
「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」
導入部の9点と弟子による1点を除いて、すべてがレンブラントという稀に見る展覧会。
また、絵画は12点だけで、残りはすべて版画で構成されている点も珍しいかも。

レンブラント通の人には「何をいまさら」なことでしょうが、
レンブラントは生前から、版画家として名声を得た人だったのです。
今回の作品の中にも、百グルデン版画と呼ばれる作品が含まれています。
当時の労働者の年収が200グルデンだったと言われているので、
1枚の版画でその半分だと考えると、その価値やいかにといったところでしょうか。

病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画)
©2011 The National Museum of Western Art, Independent Administrative Institution National Museum of Art

特に有名なのが、この、国立西洋美術館所蔵の「病人たちを癒すキリスト」。
今回の展覧会にも西洋紙と和紙に刷られた2点が出品されています。


光の魔術師と呼ばれるレンブラントが追い求めたのは、光と影とが織り成す繊細な表情。
レンブラントの版画には、その表情が余すところ無く表現されている気がします。
さらに、版画の特徴として、同じ原版をもとにした、複数の作品を
並べて同時にみることができるという、ちょっと変わった展示の手法も見られます。
オランダのレンブラントが過ごした建物であり、現在は美術館として整備されている
レンブラントハイスをはじめとして、片や大英博物館、片や東京国立西洋美術館。
普段は海の向こうの美術館に離れ離れのきょうだい達が、
まさに時空を超えて一堂に会した、特別な展覧会といった趣です。

西洋美術館で版画の展示室がまるごと改装中だったんですが、
その作品たちに、こんなところで出会うとは!

このきょうだい達を並べて見ていると、
微妙な色合いやインクの乗せかたの違いをはっきりと見て取ることができます。
光や闇の表情を追い求めたレンブラントは、
同じ原版で、紙の材質を変えて何度も刷り直しを行っていました。
特に彼が興味を示し、何度も使ったのが、「和紙」。
洋紙と比べてやや暗めの、ほのかにオレンジがかった仕上がりを好んだようです。

また、版を重ねるにつれて変わっていく表情を見比べられるのも特徴。
展覧会の最後に並んだ「エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)」や「3本の十字架」などは、
版の途中で大胆に構図を変えた様がありありと見てとれて、非常に興味深いです。
絵画にはない、版画ならではの醍醐味と言えるかもしれません。

3本の十字架 第1ステート

第1ステートの「3本の十字架」
キリストの足元にひざまずく騎士や崩れ落ちる聖母の姿、
この場から立ち去ろうとする群衆の姿などが見て取れ、
キリストが絶命した後の情景が描かれているといえます。

3本の十字架 第4ステート

それに対して第4ステートの「3本の十字架」
画面構成に大きく手が加えられ、第1ステートで見て取れた人々が見えなくなっています。
これによって、まるで人々の注目がキリストに集まっているかのように、
キリストがこれから絶命しようとしている瞬間にまで時間が巻き戻されているのです。

絵画作品では決して見ることのできない、作者の思考と試行を見ることができる、
そういう意味ではとても興味深い内容です。


また、数が少ないとは言え、絵画も一見の価値ありです。
光と闇とに焦点を当てた作品たちが集っています。
中でも、展覧会の目玉とされている「書斎のミネルヴァ」。
書斎のミネルヴァ
©Private Collection, New York

ミネルヴァは兜を脱いで槍と楯を置き、
戦いの神ではなく知恵を司る神として描かれています。
ふくよかな身体つきは、どこか女神からは離れた印象を受けますが、
穏やかな表情に、若くして死別した妻サスキアの面影を映したと言われれば、
その容姿もなぜか納得できてしまいそうです。
レンブラント特有のどこまでも透き通るような瞳の色。
画面の左上、まるで天から降り注ぐような光の中の凛とした佇まいは、
やはり見るものに神々しさを印象づけます。
個人蔵の作品ですから、この展覧会でしか見ることができないかもしれません。


この展覧会は名古屋市美術館で9月4日まで。
残り期間が短くなっちゃってますから、観るならお早めに( ´ω`)

さて、長くなるのでもうひとつは続きに‥‥
この夏は愛知が暑かったのですねえ‥‥
同じく愛知県は豊田市美術館で開催中なのは、
「フェルメール ≪地理学者≫とオランダ・フランドル絵画展」。
シュテーデル美術館所蔵のフランドル絵画が一堂に会しています。
シュテーデル美術館の改装に合わせて、ごっそりと貸し出されたという、
まさに前代未聞、そしてもう二度と実現しないと言われる展覧会です。
目玉は、フェルメールの「地理学者」。
世界に30数作品しか残っていないといわれる、フェルメールの作品の中でも、
たった2枚きりの男性の肖像が描かれた作品のうちの1枚です。

地理学者

鮮やかなフェルメールブルー、手元や主題以外をわざとぼかした巧みな表現、
何かひらめきを捕まえるかのように、遥かなる大地に想いを馳せるかのように、
中空をさまよう視線。

地理学は、後進国で有りながら貿易で財を成したオランダにとって、
なくてはならない学門でした。
その地理学の学者という姿を通して、
当時のオランダの裕福な市民の姿を垣間見ることができます。

書棚の上の地球儀はインドを、壁に掛けられた地図はヨーロッパを示し、
まさにオランダの商圏を示しています。
学者の肩にかけられた蒼のビロードの上着は「ヤポンス・ロック」と呼ばれ、
交易によってもたらされた日本の着物やその模造品。
見事な蒼色をちりばめたゴブラン織りなど、高価な品々を配することで、
オランダの栄華は大航海時代によって生み出されたことを雄弁に語っています。
そんな中に、壁の巾木としてフェルメールの故郷デルフト特産の、
デルフト焼きのタイルがあしらわれていたりします。


そのほかに記憶に残った作品をいくつか。

マールトヘン・ファン・ビルダーベークの肖像

「マールトヘン・ファン・ビルダーベークの肖像」
この展覧会にもいくつかレンブラントの作品が並んでいます。
その中の一つ。
肖像画ばかり並んだ一角にあります。
何よりも、その澄んだ瞳の輝きに、吸い込まれそうになっちゃいます。
並んでいた他のどの肖像画よりも印象に残りました。


夕食の食卓を片づける女性

「夕食の食卓を片づける女性」
やはり京都のフェルメール展で見たときと同じく、
レンブラントの弟子であるヘリット・ダウの作品。
ろうそくとランタンの明かりだけで照らし出される画面全体が、
どこか懐かしい暖かさにあふれている気がして。


調理台の上の魚

「調理台の上の魚」
ヤーコプ・フォッペンス・フォン・エスの作品。
魚卸組合の公館に飾るため、横長の絵画として特注されたものだとか。
生々しいほどの魚の描写に圧倒されちゃいます。


さて、この展覧会、残念なことに会期は8月28日(日)まで!
この週末で終わってしまうのです。
見に行くなら今が最後のチャンスかも!

また、このレンブラント展とフェルメール展は連動しているようで、
片方の展覧会の半券を見せると、もう片方の展覧会は200円引きで入場できるそうです。
是非両方みてみなきゃ!



ところで、1点、残念なのは、
この豊田市美術館で開催されている「シュテーデル美術館所蔵のフランドル絵画展。
とても‥‥とても‥‥「照明効果が悪い!」のです。

名古屋市美術館では、国際的に定められた照度を守りながらも、
版画の1枚1枚の微妙なニュアンスの違いを感じ取れるよう、
出入り口に暗幕を張るなどの工夫で会場全体は暗く、
それでいて、パナソニックのLEDライトを使うなどで、
作品自体はくっきりと見せる工夫がなされていたのですが‥‥

豊田市美術館では、絵画表面を覆う「アクリル板」に、激しく周囲が映りこんでしまって、
肝心の作品がはっきりと見えないんです。
これまで、こんなにも作品を「アクリル板」が覆っていることを意識したことはありません。
京都のフェルメール展では、筆の生のタッチを見て取れたほどだったのに‥‥。

破損の恐れがないからか、作品の手前に仕切りがないのはいいんですが、
みんな見えづらいものだから、顔を寄せて眉を寄せて目の前で鑑賞しちゃって、
後ろからじゃとてもじゃないけど見えない状態に。

そして、作品自体も暗く沈んでしまっているうえに、
額縁上部の縁の陰が、作品の最上部の色合いを覆い隠している始末。
目玉の地理学者も、手前で放映されている紹介ムービーとは、
まるで色味が異なってしまっていました。
作品たちはとてもいいものばかりであるだけに、がっかり度はかなり高くなっちゃいます。

でもでも、たとえそうだとしても!
見に行く価値はあると思うのです。
この週末が、最後のチャンス。
是非足を運んでみてくださいね~!


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ももの裏稼業繁盛記

ときさんがへにょへにょの間にいっぱい美術鑑賞~♪(*´ω`)
‥‥あんまり遊びすぎてると怒られそうだけど‥‥ストレス解消だもん!いいよね!

まいどこにちはももいのです。
先月に続いて美術鑑賞。
今回は、今ちょうど京都東山の京都市美術館で開催されている、
「フェルメールからのラブレター展」のご紹介。
副題はCommunication: Visualizing the Human Connection in the Age of Vermeer
コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ。


17世紀のオランダにはたくさんの自由がありました。
それは宗教的な自由であり、民族的な自由であり、そして経済的な自由でもありました。
ヨーロッパ中から自由を求めてたくさんの人が集い、経済は大いに発展します。
チューリップバブルのような狂想曲も巻き起こりました。

経済の発展とともに、文化の華も開きます。
絵画の世界では、フェルメールやレンブラントをはじめとする
オランダ・フランドル地方の画家たちが、数多くの絵画を残したのです。


この絵画展では、「手紙」を主題としたフェルメールの3作品を中心に、
17世紀前後のオランダ絵画から、
人々の「コミュニケーション」に焦点を当てた作品が一堂に会しています。

中でも今回の目玉はこちら。
アムステルダム国立美術館により修復されて以来、初めての公開となる、
「手紙を読む青衣の女」

手紙を読む青衣の女
© Rijksmuseum, Amsterdam. On loan from the City of Amsterdam (A. van der Hoop Bequest)

胸元で強く引き絞った両腕。
熱心に、でもどこが悲しげに、手元に落とした視線。
手紙から懸命に何かを読み取ろうとするかのような表情。
背後に掛けられた大きな世界地図が、手紙の主が船の乗組員として、
海の彼方の異国にいることを暗示している、そんな作品です。

左側から差し込む静かな光線。
天然ラピスラズリを使ったウルトラマリンブルーで染められた上着。
深い蒼を湛える2脚の椅子。
テーブルの上に置かれた真珠のネックレスの淡い光。
まるで画全体が一つの物語を形作っているかのよう。

オランダの経済的な発展の中で、それまで公文書などとしてしか存在しなかった手紙が、
次第に個人間の気持ちのやり取りに使われるようになっていったと言われています。
オランダの多くの人々が、船運にかかわる仕事をしていたこの時代、
異国に渡った船乗りとの手紙のやり取りには、往復2年かかったとも。
手紙に書かれた言葉を、大事そうに見つめる彼女のしぐさに、
そんな時代背景を想わずにはいられないのです。

この写真ではくすんで見えますが、それはこの写真が修復前の状態だから。
修復後の今の姿を眼前に見ると、
フェルメールならではの輝きに満ちた色合いに、飲み込まれてしまいそうです。



他にも、手紙や職業、家族、しぐさや表情など、
さまざまな切り口でコミュニケーションをとる人々の姿が描かれています。
その1枚1枚に物語があり、ひとりひとりが何かを語っているかのような、
実に多弁な作品たちでした。


手紙を書く女と召使い
© National Gallery of Ireland.

たとえば、もう1枚のフェルメール作品、「手紙を書く女と召使い」。
女性がただ手紙を書く姿‥‥だけでは済まない背景が、
画の中に織り込まれていたり。


執筆を妨げられた学者

こちらはレンブラントの門弟、ヘリット・ダウの作品で「執筆を妨げられた学者」
小さな作品ですが、物言いたげな鋭い視線が私たちを射抜きます。

ダウの作品ではもう1品、「羽根ペンを削る学者」。
同じく小さな作品ですが、
普段は気難しい学者が、愛嬌たっぷりの表情で羽根ペンを削る姿に、
思わず笑みがこぼれてしまいます。
こちらのページの一番下の画像で見ることができます。


室内の女と子供
© Rijksmuseum, Amsterdam.

そして、ピーテル・デ・ホーホの「室内の女と子供」。
市松模様の床、冷気を遮るために床に置かれた踏み台、窓にはめ込まれた格子など、
母と子の何気ない姿を描いただけでなく、
当時のオランダの家庭の光景が臨場感たっぷりに伝わってくる作品。

壁の足元に張り巡らされたタイルは、子供たちが遊ぶ姿が描かれた、デルフト焼のタイル。
よく見ると、展覧会の会場の中にも同じタイルが張り付けられた場所がありますよ。




見て歩きながらふと思ったこと。
たとえば、チューリップバブルに踊らされた当時のオランダの人々を描いたこの本の、
宿屋や酒場や農村の人々、あるいは公証人や弁護士といった人々の、
生の姿を見られるような、そんな側面も持ち合わせた展覧会と言えるかもしれません。



この展覧会、京都市美術館では10月16日(日)まで開催。
その後、仙台の宮城県美術館で10月27日(木)~12月12日(月)まで、
そして東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで、
12月23日(金)~2012年3月14日(水)まで、開催されます。

フェルメールブルーに惹かれる人も、17世紀のオランダに触れてみたい人も、
是非足を運んでみてくださいね。


お土産にはオランダで100年あまりの歴史を持つ、Daelmanのキャラメルワッフルを。
デルフト焼きを模した缶に入ったタイプもあって、なかなかかわいいです♪
寒い時期には、あったかいコーヒーの上に蓋をするようにのせて、
中のキャラメルを溶かしてから食べると、おいしいんですって。

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ももの裏稼業繁盛記

ときさんが沈んでるときはうちの出番っ★
まいどこにちわ、ももいのです。
うちの裏稼業のせいでときさんには苦労をかけて‥‥。゚(゚´Д`゚)゚。
‥‥‥と。それはちょっとおいといて。(・ω・ノ)ノ ⌒ ゚*。


ばたばた忙しい合間を縫って、古代ギリシャ展見てきましたよーというお話です。
早く書きたかったんだけど、なかなか日誌に書く時間もとれなくて‥‥
古代ギリシャ展の公式ホームページはこちら。大英博物館 古代ギリシャ展
9/25まで、国立西洋美術館で開催されています。
うちが行ったのは休日でしたけど、案外入館待ちの行列もほとんどなしでした。
やはり、絵画の展覧会よりは少し人気が劣るんでしょうか?


大英博物館のギリシャ・ローマコレクションから集められた135点。
「THE BODY BEAUTIFUL」のサブタイトルに恥じない、
肉体の美を追求した2000年前の人々の意識に触れることができます。
今回の目玉は何と言っても、ディスコボロス。つまり「円盤投げ」の大理石像。

円盤投げ(ディスコボロス)
© The Trustees of the British Museum

ギリシャの彫刻家ミュロンが紀元前5世紀に作成したものを、
ローマ人が紀元2世紀にコピー品として作成したものです。
ローマの皇帝ハドリアヌス帝の別荘後で見つかったもので、
ハドリアヌス帝が作らせたものだと言われています。
高さは169㎝で、ほぼ等身大の大きさ。
飾台の上に載せられていると見上げる高さで、想像よりも大きく感じられます。

見事に引き締まった「BODY」、表面に浮き上がった血管、
今にも跳ね返りそうな柔軟性、強く大地を踏みしめるつま先など。
どこを見てもいつ動き出してもよさそうな躍動感をみなぎらせながら、
競技の中で動きの止まった一瞬を、見事に切り出しています。

ちなみにこの大理石像、
ミュロンの原作とは大きく異なる点があるんだそうです。
本来であればこの瞬間、競技者の顔は円盤のほうを注視しているはず、
つまり斜め後ろを向いているはずなんですが‥‥。
実際に、ドイツやローマ、アテネなどの博物館に収蔵されている円盤投げの像は、
円盤を注視するようにやや後ろを向いてます。
正面を向いてるのは、大英博物館収蔵のこのディスコボロスくらい。
なぜなんでしょう?

その理由はきっと、テルマエ・ロマエを読んだ人ならピンとくると思いますが、
造らせたのがハドリアヌス帝というのがポイントなんじゃないかなあ‥‥
ハドリアヌス帝は「男色趣味」で知られています。
寵愛していたアンティノウスの石像を多数造らせたことでも有名。
見比べると、このディスコボロスの顔も、
なんとなくアンティノウスの顔に似ていなくも‥‥
皇帝が石像の顔を見上げられることが重要だったんでしょうねえ。
「皇帝の趣味も困ったもんだ」なんて彫刻師のぼやきが聞こえてきそうですねw


他にも、同じくハドリアヌス帝が作らせたヘラクレス像の頭部。

ヘラクレス像頭部
© The Trustees of the British Museum

強さと力の象徴であったヘラクレスはたくさんの像が作成され、
また多くのアンフォラや酒杯にもモチーフとして描かれています。
この展覧会にもいくつかの作品があるわけですが、
この像を見た瞬間、何か違和感のようなものを覚えたのです。
こう言っちゃなんだけど「あんまり強そうじゃないよね」‥‥と。

その場はそのまま通り過ぎたんですが、
ディスコボロスについてあれこれ考えているうちに、ふと気が付きました。
そっか、ハドリアヌス帝に「ヘラクレス像を造れ」と言われて、
彫刻師がその顔をハドリアヌス帝に似せずにいられるでしょうか?
皇帝からのお仕事なんですから。
しっかりごまをすって、次のお仕事につなげていかないとですよねえw
つまりこれは、ハドリアヌス帝とヘラクレスを重ね合わせた、
ハドリアヌス帝の胸像といってもいいのかもしれませんねえ。


そのほかにも、アフロディテ(ヴィーナス)像など、見どころはたくさん。

アフロディテ(ヴィーナス)
© The Trustees of the British Museum

人間の美しさを称賛したギリシャの美的感覚には、
2000年の時を超えて、現代にも通ずるものがあるなあと感じました。


DOLで美術好き、考古学好きだと自負されてる方は、
是非機会を作って見に行かれることをお勧めします。
やっぱり、美術って、自分の目で見て、いろんな角度から眺めて、
初めて感じるものがたくさんあると思うのです。
今回のような彫刻の場合はなおさら強く、そう感じました。
夏休みの自由研究(?)に、イチオシです。


ちなみに‥‥今回は買いませんでしたけども‥‥お土産には、
海洋堂制作のディスコボロスの1/15スケールのフィギュアなんてのがあります。
いつでも自宅でギリシャの美を堪能できちゃう!これもまたオススメです。

さて、続きは西洋美術館の常設展です。
企画展のチケットを購入すると、常設展も見ることができます。
常設展だけであれば大人420円、
毎月第2・第4土曜日と11/3の文化の日は無料で入場できるそうです。

常設展なんてどこもたいしたことないよね‥‥と侮っちゃいけません。
西洋美術館の常設展は一見の価値ありです。


まず目を引くのが、圧倒的な彫刻の作品数。
そのほとんどが、ロダンの作品のブロンズ像です。

地獄の門
© 2011 The National Museum of Western Art, Independent Administrative Institution National Museum of Art

美術館入口の外に展示されている、地獄の門。
原作は大理石像だそうですが、こちらはロダンの死後に発注されたブロンズ像。
中央上部に、ロダンといえばで有名な「考える人」が見えますねえ。


一方の絵画では14世紀のゴシック・ルネサンスから
20世紀のキュビズム・シュルレアリスムまで。
ティントレット、ヤン・ブリューゲル、ルーベンス、
マネ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガンなど‥‥
巨匠と呼ばれる数多くの画家たちの作品が集められています。
特に、モネの作品が多数あるのがポイント。
中でも目を引くのが、この「睡蓮」。

睡蓮
© 2011 The National Museum of Western Art, Independent Administrative Institution National Museum of Art

数多くの睡蓮の絵を描き残したモネ。
この作品はモネが78歳の時に作成した、縦横いずれもほぼ2mにもなる、大きな作品。
老練の技とも言える、見事なまでの筆遣いは、
実際に作品を見てみないと実感できないと思いますよ。


そして常設展の絵画の中で、一番心に響いてきたのがこちら。
ヴィルヘルム・ハンマースホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」

ピアノを弾く妻イーダのいる室内
© 2011 The National Museum of Western Art, Independent Administrative Institution National Museum of Art

フェルメールの影響を受けたとも言われているハンマースホイの作品。
焦点は手前のテーブルの上に載った、空の皿に、
奥の部屋で背を向けてピアノを弾く彼の妻イーダの姿はぼかされていて‥‥
作品から伝わってくるのは静寂、沈黙、寂寥。
ただ一言、「静謐」という言葉があまりにもふさわしい作品。

この作品を見て、心に流れたのは「楽しみを希う心」。
映画「ピアノ・レッスン」の主題曲といえば、思い浮かぶ方もいるんじゃないでしょか。
もちろん曲はマイケル・ナイマンによる現代の作品なので、
この絵画で妻イーダが弾いていたであろう可能性は皆無なのですが‥‥

実は、この絵を見るまで忘れていたんですが、
3年前に同じ西洋美術館でハンマースホイの展覧会が行われていたんです。
その展覧会を特集したNHKの日曜美術館、これを見てたんですよね。
今でも残っているハンマースホイが住んだ家を訪れ、絵画と映像を重ね合わせる‥‥
誰もいない部屋を数多く描いたハンマースホイの作品が、強く印象に残っていたのです。

思いもかけずに巡り合ったハンマースホイの絵に、
ついのめりこんでしまったのでした。


先にも言いましたけれど、
毎月第2・第4土曜日と11/3の文化の日は入場無料。
これだけの作品がただで見られるだなんて‥‥なんて羨ましいんでしょう!
機会があれば、ぜひもう一度‥‥と言わずに何度も足を運んでみたいところです。


▲閉じちゃう▲

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まいどときでござます(o_ _)o
今日は、今開催中の絵画展のご案内。

「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」
サブタイトルは
「大航海時代の英知の結晶― ヨーロッパ17世紀のダイナミズムを味わう」

フランクフルトのシュテーデル美術館所蔵の作品群から、
フェルメール、レンブラント、ルーベンスなど、
フランドル絵画ばかり、選りすぐりの95点を集めた展覧会。
まさに「大航海時代」がもたらした富と栄華が生み出した作品たちです。

3/3~5/22までは、渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアム
6/11~8/28までは、愛知県の豊田市美術館で開催されます。

公式ページはこちら。http://www.vermeer2011.com/
Bunkamuraの特設ページでは、映像で絵画展の雰囲気を楽しめる仕掛けも。
DOLで美術をたしなむ人にはとても身近に感じられる作品たちじゃないでしょか。
「フェルメール・ブルー」と呼ばれる天然ウルトラマリンを用いた蒼の色合い。
そして「光と影の魔術師」レンブラント。
このふたりの作品が観られるというだけでもおなかイッパイ間違いなし。

「レースを編む女」や「青いターバンの少女」に代表されるフェルメールの作品は
特有の静謐さと独特の緊張感に支配されています。
見るものを惹きこむように主題は極めて精密に、その周囲はゆるやかに。
ピンホールカメラを用いたと言われるその技法と画面構成は、
当時の人々の生きたまさにその一瞬を切り取ったかのよう。
きっと、息をのんで見入ってしまうことでしょう。
是非足を運んでみたい絵画展です。

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